エリクソン催眠でも使われるオクシモロン(撞着語法)が興味深い
こんにちは、まことです。
ジムで自転車をこぎながら雑誌をめくってたら。
こんな広告が出てきました。
When the world
gets smaller,
the data gets bigger.
訳は
「世界は小さくなっていくけど
データは大きくなっていく」
的な感じでしょうか?
まあ意味はどうでもいいんだけども、
When the world
gets smaller,
the data gets bigger.
この正反対の語句の対比。
これを見てて、溝江先生に教わった
oxymoron
(オクシモロン)
という概念を思い出しました。
調べてたら、いろいろ面白い文章が出てきたので、
覚えておいたらいろいろ使えそう!
oxymoron(オクシモロン)とは?
オクシモロンとは、
正反対の意味を持つ語句がくっついたものだそう。
たとえば、
・善良な悪人
・無慈悲な親切
・本当の嘘
などなどですね。
英語のオクシモロンの例は、
・living dead(生きた屍=ゾンビ)
・only choice(唯一の選択肢)
・sad joy(悲しい喜び)
などなどだそうな。
オクシモロンを使った文章ももちろんあります。
これは教養になりそう!著名人が使ったオクシモロン名言集
I can resist everything but temptation.
– Mark Twain –
「ぼくは何だってきっぱり拒絶することができる。誘惑以外だったらね」
すごい言い回しですね。さすが小説家。
マークトゥエインさんは『トム・ソーヤーの冒険』の作者だそうです。
everything(1つ残らず全部)
と言っておいて、
but・・・
と例外をつけるのがオクシモロン的ですね。
これは覚えておいていつか使いたい。
マークさんはほかにも明言を残していて、
It usually takes more than three weeks to prepare a good impromptu speech.
「良い即興スピーチをつくるには、たいてい3週間以上かかるね」
このimpromptuが「即興」という意味だそう。
「即興」はすなわち、「準備しない」ということだから、
それなのに「準備に時間がかかる」と言っているところがオクシモロン的。
I distinctly remember forgetting that.
– Clara Barton-
「忘れることを、忘れないようにしているの」
クララバートンさんは、アメリカ赤十字の生みの親だそうです。
以前、いじわるされたことを覚えていないのか?と聞かれたときに、
「覚えていない」と答え、そして続けた言葉だそう。
「つとめて、忘れるようにしている」という意味なんだと思います。
人を許すことについてのレッスンによく引用されているみたいですね。
構造的には
remember(覚えている)
と
forget(忘れる)
がくっついた、これはわかりやすいオクシモロン。
次は、著名人の言葉ではなく、詠み人知らずだそうですが
I’m not going to say, “I told you so.”
「『そう言っただろ?』なんて言うつもりはない」
これは、
「言うつもりはない」
と言っているけれど実質、言ってしまっているのと同じことだ、
という意味で、オクシモロンととらえられているのでしょうか。
こうなってくると、かなり催眠的な感じがしますね。
エリクソンの催眠療法でもオクシモロンはよく使われる
エリクソンの催眠は、言語パターンを使ったものも出てきます。
その中の1つに、オクシモロンを使ったパターンも入っています。
違う意味がくっついたオクシモロンは、
混乱を起こさせやすいからですね。
エリクソンがオクシモロンを使っている場面を、
この本から一部引用してみます。
You’ve done so well in this session.
It is as if you are your own amateur expert,
able to make a decision right here and right now that you know will be correct.
「アマチュア」と「エキスパート(専門家)」は
まさしく正反対の言葉。
これをくっつけることで混乱を起こし、その後の暗示が入りやすくしているのだと思います。
そのほか、
And as we near the end of our session, you’ll find that you are almost ready to open the eyes.
「ready」は、100%準備ができた状態であり、
「almost」(ほとんど=100%ではない)と組み合わせることで、
オクシモロンになっているそう。
エリクソンの言葉は独特で、
わざと文法的には間違った言葉を入れたりもするそうで。
たとえば、時制を一致させてwouldとすべきところを、
あえてwillにすることで暗示にしたりとか。
エリクソンはかなり高度な次元で言語をあやつっていたんですね。
言語学習の良い研究対象になりそうです。
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